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歯周病の原因菌とは? 〜見えない敵との戦い〜

八王子市八王子駅の歯医者・歯科・インプラント

デンタルオフィス心です。

「歯ぐきが腫れている」「歯を磨くと血が出る」「口臭が気になる」

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こういった症状があったら、それは歯周病のサインかもしれません。日本人の約8割がかかっている、あるいは予備軍であると言われる歯周病。実はこの病気、細菌感染によって引き起こされていることをご存じでしょうか?

今回は、歯周病の原因となる「歯周病原因菌」に焦点を当て、その正体や働き、予防方法についてわかりやすく解説します。



歯周病とは?

歯周病は、歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットに細菌が侵入し、炎症を起こす病気です。進行すると歯ぐきだけでなく、歯を支えている骨(歯槽骨)までもが破壊され、最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。

そして、この病気の主な原因は細菌(バクテリア)です。私たちの口の中には約500〜700種類もの細菌が生息しており、その中の一部が歯周病の発症に深く関わっています。



歯周病原因菌の代表格たち

歯周病を引き起こす細菌のうち、特に病原性が高いとされるのが「レッドコンプレックス(赤い複合体)」と呼ばれる3種の細菌です。

1. Porphyromonas gingivalis(ポルフィロモナス・ジンジバリス)

もっとも有名な歯周病菌。嫌気性菌(酸素を嫌う菌)で、歯周ポケットの奥深くで繁殖します。強い毒素(プロテアーゼ)を持ち、歯ぐきの組織を破壊し、免疫機能をかく乱します。また、全身の炎症性疾患(心臓病、糖尿病、認知症など)との関連も報告されています。

2. Tannerella forsythia(タネレラ・フォーサイシア)

やや小型で、他の菌と共生しながら活動します。炎症を強く引き起こし、歯槽骨の吸収にも関与。高齢者の重度歯周炎から高い頻度で検出されます。

3. Treponema denticola(トレポネーマ・デンティコラ)

らせん状のスピロヘータ菌で、組織への侵入能力が高く、他の菌と連携して病状を悪化させる特徴があります。運動性があり、歯周ポケットの深部に入り込みやすいのも厄介な点です。

これらの3菌はセットで存在することが多く、相互に協力し合って炎症を引き起こすため、非常に強力です。



他にもいる!歯周病関連菌

レッドコンプレックス以外にも、以下のような菌が歯周病の発症・進行に関わっています。
   •    Prevotella intermedia(プレボテラ・インターメディア):女性ホルモンに反応しやすく、妊娠中の歯ぐきの腫れ(妊娠性歯肉炎)に関連。
   •    Fusobacterium nucleatum(フソバクテリウム・ヌクレアタム):他の菌とくっつく力が強く、プラークの土台を作る。
   •    Aggregatibacter actinomycetemcomitans(アグリゲイティバクター・アクチノマイセテムコミタンス):特に若年性歯周炎に関与。毒性が高く、骨破壊が急速に進む。

これらの菌は単独よりも複数で共生・協力しながらバイオフィルム(歯垢)を形成し、歯ぐきや歯周組織にダメージを与えていきます。



なぜ歯周病菌が増えるのか?

歯周病菌は誰の口の中にもある程度は存在しますが、お口の環境が悪化すると一気に勢力を増すことが知られています。増殖の原因としては以下が挙げられます。
   •    不十分な歯みがきによるプラークの蓄積
   •    喫煙(酸素不足が好条件)
   •    ストレスや疲労による免疫力低下
   •    糖尿病などの全身疾患
   •    不規則な生活や食生活の乱れ
   •    口呼吸やドライマウス(唾液の減少)

つまり、日常の生活習慣の乱れが、見えない細菌たちを活性化させてしまうのです。



歯周病菌は全身にも影響する

歯周病菌が出す毒素や炎症性物質は、血流に乗って全身をめぐり、全身疾患のリスクを高めることがわかっています。以下のような病気との関連が明らかになってきました。
   •    心筋梗塞や脳梗塞
   •    糖尿病の悪化
   •    認知症(アルツハイマー病)
   •    早産・低体重児出産
   •    関節リウマチ

つまり、歯周病菌のコントロールは、口だけでなく全身の健康維持にも関わる重要なテーマなのです。



歯周病菌に勝つためにできること

歯周病菌を完全に“ゼロ”にすることはできませんが、増殖させない環境を整えることは可能です。ポイントは以下の5つです。
   1.    毎日の正しいブラッシング
 歯周ポケットの奥まで届くよう、丁寧に磨くことが大切です。
   2.    定期的な歯科検診とプロケア
 歯科衛生士によるスケーリングやPMTCでバイオフィルムを除去。
   3.    禁煙
 喫煙は歯周病菌にとって絶好の温床。禁煙が最大の予防になります。
   4.    バランスの良い食事と十分な睡眠
 免疫力を保ち、細菌に負けない身体づくりを意識しましょう。
   5.    必要に応じた抗菌療法(歯科での処方)
 重度の歯周病には、細菌の種類に応じた抗菌薬の使用も行われます。



おわりに

歯周病は、ただの“歯ぐきの病気”ではありません。その原因となる細菌たちは、目には見えないけれど、確実に私たちの健康を脅かしてきます。

しかし、正しい知識と日々のケア、そしてプロのサポートがあれば、彼らの勢力を抑えることは十分可能です。

自分の歯を守ることは、将来の自分自身の身体と人生を守ることにもつながります。今日からでも、少しずつ見直してみませんか?

 

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